税理士法人ともに国試受験生スタッフ座談会2024【前編】実務と勉強のシナジー効果

税理士法人ともに国試受験生スタッフ座談会2024

税理士法人ともにには、税理士や公認会計士の資格取得を目指し、勉強をしながら働くスタッフがいます。

今回はそうした国試受験生スタッフを集めて、勉強と仕事を同時進行するメリットや、資格取得後に実現したいキャリアパスを語っていただきました。

この座談会に参加してくれた受験生スタッフは以下の3名です。

座談会参加スタッフ

◉三浦朋さん:税理士資格取得を目指す大学院生 三浦さんのインタビュー記事はこちら
◉西野陸玖さん:2度目の税理士試験に挑む大学4年生
◉鶴見帆乃香さん:2度目の公認会計士試験に挑む会計系大学卒業生

それではお読みください。

国試受験生スタッフ 仕事と資格取得の二刀流ライフとは

ーー本日はお集まりいただきありがとうございます。みなさまが取得を目指している国家資格と、現在の勉強の進捗について教えてください。

三浦

こんにちは、税理士を目指している三浦です。

三浦:僕は、税理士試験の必須科目のうち、3科目は既に合格済みです。

ーーではあと2科目取る必要があるのですね?

三浦:あと2科目必要なのですが、受験はしません。というのは現在大学院に在籍中でして、修士論文を書いて国税庁に提出すると、その2科目が免除になるからです。

ともにスタッフ座談会2024実務と勉強の相乗効果_三浦さん_DSC05355
税理士志望の三浦さん

ーー税理士資格の取得にはそういった制度もあるのですね。知りませんでした。では次に、現在大学4年生の西野さんはいかがですか?

西野

税理士志望の西野です。

西野:僕は、今年の8月に2度目の税理士試験を受けます

税理士志望ともにスタッフ西野さん
税理士志望の西野さん

ーー西野さんも税理士を目指しておられるのですね。では、つづいて本日の紅一点である鶴見さんにお伺いします。鶴見さんは、公認会計士試験にチャレンジ中なんですね?

鶴見

公認会計士志望の鶴見です。

鶴見:はい、私は現在既卒でパートタイ厶スタッフという立場です。私の大学同期は新卒2年目を迎えています。私は昨年公認会計士試験を受験したのですが、論文で不合格となってしまいました。なんとか今年はがんばって合格したいところです。

公認会計士志望ともにスタッフ鶴見さん
公認会計士志望の鶴見さん

ーーありがとうございます。それでは、相続税申告のお仕事をしつつ、並行して試験勉強も進めているみなさまならではのお話をお伺いしていきます。

実務で得た経験やノウハウを試験勉強に活かすには

ーー業務勉強同時並行で進めることで、学習面でなにかポジティブな効果がありましたか?ご自身の体感をお聞かせください。

三浦:相続の財産評価においては、試験勉強よりも実務の方がいろいろな種類があり、難しいです。僕はひととおり税務の勉強をした後に、実務に入ったのですが、やはり勉強だけでは理解が足りておらず、実務を経験して初めて腑に落ちたことがあります。

税理士志望ともにスタッフ三浦さん西野さん
実務で勉強の意味が腹落ちした三浦さん

机上の空論…というか、勉強だけではイメージが湧かなかったのですが、実務を経験して、勉強したことの意味や必要性が腹落ちして納得できました。

ーー具体的にどんなことが腹落ちできたのでしょうか?

三浦:たとえば、勉強して得た知識があれば、それを使って評価や議論を突き詰めていき、税額を低く計算することができます。

でも実際にお客様と向き合うと、それだけでは不十分だとわかります。単に税額を抑えればいいわけではないんです。もっと人間的な部分でベターな選択肢があることがわかります。

ーー税額第一ではないのですね。

三浦:金額自体も大事なのですが、他にもいろいろ考えることがあります。ベースの考え方を使って出した税額は理論上は正解ですが、現実はそればかりではないんです。基本を踏まえていったん結論を出したとしても、最終的にお客様の最適解ではない場合も少なくありません。

とはいうものの、基本を知らずにいきなり応用に行くこともできません。最初から応用に行くと、基礎がなくて答え合わせだけやっているような、単純に処理だけしてるような状態になります。だからやっぱりベースとなる勉強はすごく大事です。

ーー勉強で身につけた基礎があるから実務現場で応用が効くし、知識が血の通った実践的なものとして立ち上がって来るのですね。西野さんはいかがですか?

西野:私は今年2度目の税理士試験を受けるのですが、まだ合格科目がありません。なので必修科目である簿記論と財務諸表論の2つと、税法科目3科目を受けます。そのうちの1つは相続税法を選びました。

ともにスタッフ西野さん
受験科目の1つを相続税法にした西野さん

西野:私の場合は昨年ともにに入社し、実務で相続税の仕事を始めた後に、受験科目の1つを相続税法に絞って勉強を開始しました。こういう経緯ですので、実務と勉強の相互作用は確実にあります。

ーー実務と勉強ではどちらが難しいですか?

西野:実務の方が難しい論点が多いです。今受験予備校にも通っているのですが、予備校の先生にマイナーな事例と説明されたものが、実務ではむしろよく出てきたりします。

私は仕事をしていて業務マニュアルには載っていないマニアックな評価が必要になったら、いったん自分で調べてみます。調べてわかったやり方が「使える」と思えたら、そこで税理士の先生にチェックを依頼します。

そうすると、自分で調べた「だけ」の段階での完成度は、だいたい50%から80%くらいなんです。それが今の自分の完成度。まだまだ足りないです。

だから、現役の税理からフィードバックをもらえるのは本当にありがたいです。基本部分を試験勉強で学び、実務でそれを補う形になっていると思います。

ーーとても良いですね。勉強の形としては理想的ですね。

西野:予習と復習みたいな形になっているのかな、と思います。

ーー自分で導き出す答えの精度は高まってきていますか?

西野:いや、それがですね、相続業務をやればやるほど、相続の奥の深さを痛感しています。法律の枠内でしか、私たちにできることはありません。しかし税金以外の面、人間関係の面などを突き詰めていくと、本当に終わりがないです。掘れば掘るほど知るべきこと、必要なことが出てきます。

入江

代表社員税理士の入江です。私からも言わせてください。

代表社員税理士 入江:西野くんが受ける相続税法の試験では、相続税法のことを聞かれます。また、不動産の評価についての問題なら、相続税法の相続税基本通達に記載されている内容を理解しているのかどうかを問われます。当たり前ですよね。そういう試験ですから。

ともに代表社員税理士 入江
ともに代表社員税理士 入江

入江:したがって相続税法の試験には合格するための勉強法に特化して実行すればいずれ受かるでしょう。

でも実務は違います。他にもいろいろな知識が必要になってきます。相続実務で必要な知識は相続税法や不動産評価だけに留まらないのです。民法宅建業法の知識も必要になります。

ーー確かにそうですよね。民法は相続の行方を大きく左右します。法律を扱った朝ドラ「虎に翼」でも、主要人物の人生の決断を後押しする重要モチーフとして、民法の条文が登場していました。

西野:実は私が相続業務を始めたときは、相続人と被相続人の違いすらわからないような状態でした。だから、まず相続人・被相続人についてネットで調べるところから始めました。

しかし「相続人・被相続人」という用語や考え方自体が民法のものです。つまり実務は税理士試験以外のところから始まったことになります。本当に相続は奥が深いです。

ーー西野さんは、受験科目を相続税法にすることをともに入社前から決めておられたのですか?

西野:いえ、法人税法を受けるつもりでした。というのは、初めに相続税法を勉強してみたとき、とても難しく感じたので、いったん選択からはずしていたんです。

ともにスタッフ西野さん
入社後に相続税法での受験を決めた西野さん

ですが、ともにに入社していろいろな仕事や経験を積むうちに考えが変わりました。それこそ他の受験生ができないような経験をしているのだから、熱いうちに生かした方がいい。相続税法の試験を受けた方がいい、と思うようになったんです。

ーーそのように受験科目を相続税法に絞りこんだのはいつ頃ですか?

西野:去年の第1回目の試験の直前、6月〜7月頃です。来年の試験は相続税法で行こう、と決めました。

ーー1回目の試験は別の税法で受験したのですね。

入江:私は2度の失敗を経て、税理士試験に合格しました。その経験から、受験生それぞれに「受験科目との相性」があると考えています。

ともに入江
受験科目との相性が大事

私の場合は、法人税法と消費税法との相性が悪かった。しかし、簿記論と財務諸表論、そして相続税法との相性は良かったのです。何しろ、勉強を始めてほんの半年で合格できたのですから。

このように、受験科目との相性には個人差があると思います。私とは逆に、簿記・財務諸表論との相性は悪いが、法人税法・消費税法との相性が良い人もいます。そういう人は受験科目をそちらに変えたら、スッと受かっていました。

ーー一度やってみてうまくいかなかったら、受験科目を変えてみるのも戦略の1つなのですね。

入江:そういうことです。私が受験生だった頃は同じことを3回やって心が折れそうになっていました。しかし、こうした目先を変える、受験科目を変えるといった発想の転換も、1人でこもって勉強しているとなかなか出てこないものです。

でも今、西野くんは周りに試験経験者がいっぱいいるので、合格のためのヒントをいろいろともらえます。これは他の受験者に比べて有利な点でしょう。

ーーつづいて公認会計士の試験に挑戦する鶴見さんの状況をお聞かせください。

鶴見:はい。私は公認会計士試験の選択科目として経営学を選択しました。経営学と必修科目の組み合わせで、この夏の論文試験の準備をしています。

ともにスタッフ鶴見さん
選択試験科目に経営学をチョイス

ーー公認会計士試験の試験科目の構成について、簡単にご説明いただけますか?

鶴見:公認会計士の試験はマークシート方式の短答式試験と論文試験で構成されます。

短答式試験は全科目が必修科目で、管理会計論・財務会計論・監査論・企業法の4つで構成されます。

論文試験の方は、必修科目と選択科目による構成です。必修科目は、短答式でも必修の4科目プラス租税法の5科目になります。選択科目については、経営学・経済学・民法・統計学の4科目の中から1科目を選ぶ、というルールです。

ーー公認会計士の試験科目は税理士試験の科目よりも多いのですね。

鶴見:はい、多いです。また税理士試験とは異なり、「科目合格」という考え方がないのがつらいところです。マークシートの短答式試験は4科目、論文試験の方は5科目を1回で受からねばなりません。

公認会計士試験には科目合格制度なし

ーーそれはキツイですね。

鶴見:加えて1科目でもデキの悪い科目があると、合格できません。足切り点があるので、全科目で一定水準以上の点数を取らなくてはなりません。

ーー公認会計士の試験勉強と、税理士法人の仕事の相乗効果のようなものは感じますか?

鶴見:実はそれほど感じていないです(笑)。ただ、租税法の勉強をしていて所得税の知識も身についたので、実際にともにで準確定申告の仕事をしてみたいな、と思っています。

その他に、入江さんや他の税理士を見ていて、真剣に考えるようになったことがあります。それは資格取得後のキャリアプランについてです。

ーーお考えになっている資格取得後のキャリアプランについて、詳しくお聞かせください。(後編につづく)

このつづきは税理士法人ともにスタッフ座談会2024【後編】国家資格取得後の進路やキャリアパスでどうぞ。テーマを「資格取得後のキャリアプラン」に切り替え、当事者ならではの深い内容の座談会がつづきます。

▼後編記事はこちら

税理士法人ともに国試受験生スタッフ座談会2024【後編】資格取得後の進路やキャリアパス談義

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